鍼灸の流派
お茶やお花には草月流とか、裏千家というような流派と呼ばれるものがあります。
鍼灸の場合はそこまで明確な名前を出しているところは少数ですが、しかし、流派のようなものはあります。
“流派のようなもの”というのは、その鍼灸師が習ってきた師匠なり、勉強会なりの流れのことをいいます。
鍼灸院を選ぶときに、どこを選んで良いのかわからないのは、こういった流派のようなものがあるため、行くところで鍼灸の内容が異なることが多いからです。
どこの鍼灸院に行くかどうかを決めるときに、そこの先生がどのような流れの鍼灸を汲んでいるのかある程度知っておくことも大事だとは思いますが、しかし一般の方はもちろん素人ですから詳しく知る必要はないわけですが、最低限知っておいていただきたいことをまとめておきます。
古典派の鍼灸
古典派の鍼灸とは、『黄帝内経』『難経』といった東洋医学の原典から鍼灸治療のシステムを構築していく流派です。
“東洋医学は全身を診る”、“東洋医学は身体全体を捉える”などと言いますが、古典派の鍼灸はこの東洋医学の方法論を実践しています。
また、腹診や脈診、舌診など、東洋医学に伝わる診察方法をより駆使しているのが古典派の鍼灸と言うことができます。
古典派の鍼灸は、さらにたくさんの流派に分かれていきます。
というのは、古い医学書を参考にしているため、その解釈の仕方に違いがあり、その違いによって流派が分かれていくからです。
学会名・研究会名で言えば、経絡治療学会、東洋はり医学会、漢方はり医学会などはこちらに入りますので、行ってみたい鍼灸院の鍼灸師がどこの会に所属しているかというのも参考になるかと思います。
ただし、学会や研究会に所属していない鍼灸師や、よりマイナーな会に所属している鍼灸師もおりますので、気になる場合は尋ねてみましょう。
現代派の鍼灸
現代派の鍼灸とは、古典派とは真逆に位置すると言ってもいいかもしれません。
現代派の鍼灸は、主に現代医学の解剖学を中心にした流派です。
東洋医学にある陰陽論、五行論はほぼ使わず(使っても参考程度)、極端な鍼灸師はツボも否定します。
筋肉の走行部位、筋腹などを重視して鍼をしていきます。
パルス器具のような、電気を流す器具を使うところが多いです。
現代医学の筋肉などを参考にしながら鍼をしていくので、それほど先生によって違いが出ることがありません。よって、現代派に所属している鍼灸院を選ぶ場合は、流派にはこだわらなくても良いかと思います。
代表的な学会、研究会で言えば、全日本鍼灸学会があります。